RE:FACTORYのお客様でデザイン事務所を営む大井さんが、
弊社建築士 奥河内の家づくりをレポートするスペシャルコンテンツ!

RE:FACTORYの設計を手掛ける建築士 奥河内さんが
家族のために手掛ける家づくり。
物件探しからインテリアのことまで、
そこには建築のプロならではの参考にしたいヒントがたくさんありました。

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空間の印象をつくる
壁や床の材料・色味のこと

2021.09.03

建具やタイル、床の色味など。
インテリアに調和するパーツの
取り入れ方って?

解体が終わり大工や設備工事もひと段落した5月の下旬、続いて左官・内装工事が始まりました。壁の塗装、建具やタイルなどインテリアの土台となる部分を仕上げていきます。リビングやキッチンの壁は元のクロスからテクスチャーの出る塗り壁にすることにしました。お目当てのカラーを実際の壁に試し塗りし、壁面の色を決めていきます。奥河内さんがキッチンやリビングに選んだ色は、温もりのあるベージュ。窓枠や床のタイルとの相性を見ながら、色味の近い塗料を数種類、そして一度塗り・二度塗りと微妙な色の差も見比べ、よく吟味し決めていきます。

  • 微妙にニュアンスの違う塗料を一度塗り・二度塗りと現地で試し塗りし、微細な差を見比べながら壁面カラーを吟味していきます。

  • 奥河内さんは塗りムラが出るタイプの塗料をセレクト。ハケの表情が出て味わいのある仕上がりに。

そして、廊下は元のクロス張りから木目の美しいナラの木の板張りにチェンジ。素材が変わると印象がガラリと変化します。窓から差し込む光も一層柔らかく、オーセンティックなムードに。世界観の異なるそれぞれの階層をゆるやかに繋げてくれます。時が経つにつれ、板の色も深みを増し表情が出てくるのも楽しみです。

  • 【廊下・階段/BEFORE】施工前は白いクロス張りの壁面と、濃いめの木材のコントラストがはっきりとした設え。

  • 【廊下・階段/施工】壁面・床ともに木目の美しいナラ材の板張りに統一。空間全体が柔らかく温かみのある雰囲気に変わっていきます。

このような壁紙・タイルなどの内装パーツ選びは、家づくりの醍醐味のひとつ。ショールームに足を運んだりサンプルを取り寄せてみては、あれこれと新しい家の想像が膨らむ楽しい作業です。しかし、膨大な選択肢の中からこれと決めるのはなかなか至難の業。壁の色ひとつをとってもペンキの色見本だけではなかなか決めづらく悩んでしまうのが実情です。建築家の目から見た、上手な内装の決め方ってあるのでしょうか? 奥河内さんは今回のリノベーションで内装をどのように選んだのか詳しく聞いてみました。

奥河内邸は2階と1階で雰囲気をガラリと変えています。リビング&ダイニングのある2階は元々の木造をいかした有機的な空間。前述のように質感を活かしたベージュの塗り壁によって全体が温もりのあるトーンに仕上がり、居心地の良い空間を作り出しています。

それに対して、エントランスやバスルームのある1階は鉄筋コンクリート造で、それにマッチするようにモルタル塗りの壁を採用しています。照明の明かりもあえて控えめにし、薄暗く無機質な空間がクールな印象です。このように空間のイメージに合わせて、壁の色調を選ぶことでインテリアに統一感が出ます。まずは、明るい・暗い、シンプル・カラフル、クラシック・モダンなどの大まかな方向性を決め、そのイメージに沿った壁の色合いや質感に絞っていくことで洗練されたインテリアが目指せると、奥河内さんは語ってくれました。

タイルの選び方についても、同様に色調をセレクトすることと室内のスケールに合わせたタイルの大きさを選んでいくことが重要だそう。例えば奥河内邸では、キッチンダイニングとバルコニーが一体となった、かなり広い空間の床一面にタイルを敷いていますが、その空間の規模に合わせて大判のタイルをセレクトしています。その逆に、小さなスペースであれば、細かいタイルの方がバランスよく収まるのです。

タイルは様々なメーカーからいくつかサンプルを取り寄せ、実際に現地に実物を置いてみて検討していきます。壁と床のサンプルを一緒に並べて相性を確認しながら決めていくと、イメージが湧きやすいのでおすすめ。まず壁や床など面積の大きい部分から考え、インテリアと調和する色味を選択していきます。そのあとに棚やサッシなどの細かい部分の素材やカラーを決めます。こちらはアクセントとして捉え、好きな色味や少し遊び心のあるカラーを選んでいくとインテリアにオリジナリティを盛り込むことができます。

いずれにしても最適なひとつを選び出すには迷ってしまうことも多いはずです。設計段階から建築士さんに生活スタイルや好みを知ってもらうことで、プロの視点で最適なものを提案してもらえます。分からないことや不安なことは、ぜひ積極的に建築士さんに相談して、より理想的な家づくりを実現してくださいね。

  • ■タイル選びの豆知識 【N邸/施工事例】洗面台などのコンパクトな空間には小さ目なタイルが好相性。空間の印象を切り替える効果も。

  • ■タイル選びの豆知識 【K邸/施工事例】大空間には大判のタイルを使用することで、ゆったりとした空間の広がりを感じる仕上がりに。

  • たくさんのサンプルの中からタイルをセレクトする奥河内さん。壁面の塗料との調和を考えながら色味や質感、表情などの相性を吟味します。

次回は「造作で仕上げる、ホテルライクなこだわりのバスルーム。」

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